スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【総合短編】('A`)は青かったようです

110 名前:1/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 20:54:02.67 ID:n+maNZyB0

銃口から粒子が収束し、直線を吐き出す。
放たれた光は同じくこちらに狙いを定めている灰色兵のヘルメットに直撃し、爆散した。
上下左右が乳白色の淡い光を放射する通路の中、飛び散る装甲、脳髄、血液etc。
ある意味倒錯的な美を一瞥したドクオは、響いてくる足音の多重音とは真逆の方向へ走り出す。

彼の信号を敏感に察知した、装甲服の脚部合成筋肉が膨らみ、速度に介入。
瞬時に100M先の終点に到達し、壁を蹴って右へ跳び、繰り返す。

('A`) 「……ハッ」

と、十字路の左右から身を乗り出し、紅い単眼をこちらに向ける兵士が現れた。
その下には当然、粒子の漏れる光も視認する。

咄嗟に腰の拳銃を抜き出し、真横に発砲。
小気味いい硬質な反射音とともに、ドクオの胸に食い込み、しかし柔らかな装甲を貫くことはない。
代わりに、衝撃で僅かに空中で進行方向をずらすと、身体の前後を光の束が通り過ぎていった。

('A`) 「お返し」

右で未だに構えを解かない間抜けに光を一発。

('∀`) 「だッッ! ……っと。ハハッ」

着地した目の前にいた一つ目に、慣性で蹴りを見舞う。

一人は頭で花を咲かせ、一人は天井にめり込み、どちらも運動を永久に止めた。
同士の死亡を傍観していた、同じ姿の仲間たちが慌てて銃を上にあげるも、既に敵の姿はそこにはなかった。

112 名前:2/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 20:56:01.92 ID:n+maNZyB0

敵倉庫から奪取した灰色の身体強化型装甲服、"N.N.S."を身に纏った三つ目の獣が、
障害物を噛み散らかしながら基地内を駆け巡る。

監視カメラに映るのは緑の尾を引く灰色の残像、鮮血の通路。
装甲服に取り付けられた発信機で場所を特定はできるものの、防衛隊を派兵すれば死者を増やすばかりであった。
止める術を持てず慄く、哀れな先端科学の執行者たち。
一見無計画に思えた信号の軌跡は、徐々に彼らのいる場所へ近づいていく。

漸く封鎖を決断するが、隔壁を降ろしても点滅が立ち止まることはなかった。
本来、装甲服や粒子銃では容易に突破できないはずの硬壁。
彼はそれをあり得ない速度で破砕し、進攻速度は監視兵の予想をはるかに凌駕させた。
躍起になって遅延作業を続けていると、後方の扉がスライドする。
怪物が、

('A`) 「ハロー」

牙を突き立てた。

※※※

赤でべたつくボール型コントローラーを転がし、拡大・縮小・回転。
自国の文明よりも数段上であるはずの機械を操り、出現させた地図のホログラムで内部の詳細を調べ上げていた。
監視所を制圧したとはいえ、やはりここ、"宇宙防衛軍基地極東支部"はなかなかに広大なようだ。

('A`) 「……親玉は、ここか」

緻密かつ膨大な規模で記されたそれの中から、目当ての固有名詞を発見した彼は、
迅速に道筋を脳内のマッピング装置に記録。
一様に首なしの人形たちの安置所を後にした。

113 名前:3/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 20:58:00.96 ID:n+maNZyB0科学技術の粋を結集させたこの施設に似合わない、中世染みた重厚な扉を足でノックする。
勢いよく左右に拓けた視界に映ったのは、豪奢な照明、重厚な柱の列、真紅の絨毯。
時空を跳躍した感覚に陥ったドクオは一瞬目を奪われたが、すぐに気を漲らせる。

最奥の壇上……金色に縁取られた椅子の前。
踝まである純白のコートに身を包んだ、中性的な顔をした男が独り、佇んでいた。
旧時代の御伽噺に出てきそうな両刃の長剣を、鞘から抜き放つ。
ゆっくりと輪郭がぼやけ、発光しだす刀身。
その切っ先をドクオに差し出し、

从 ゚∀从 「やっと来やがったか……」

歓喜と侮蔑、多重の意味を含んだ眼と、僅かに持ち上げられた口角をこちらに向けた。

('A`) 「てめえが親玉、ハインリッヒか?」

从 ゚∀从 「ご名答。……って襲撃した基地の司令官の名前くらい知ってるかww」

彼の傍には半透明の映像が浮かび、今はこの場所が映されているようだ。
どうやら、ドクオの行動は全て見られていたらしい。

从 ゚∀从 「今までやってきた奴らの中でもあんたは一番活きがいいな……。
       ここまで基地ん中あ荒らされたのは久々だぜ」

左手を腰に提げられた仮面に当て、顔の真横まで持ち上げる。

从 ゚∀从 「さしずめ……エイリアン兵のエース、といったところか?」

壇上からの一言に、両腕の末端が光を帯びだす。
引き金を引いたままの拳は震えていた。

114 名前:4/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:00:02.74 ID:n+maNZyB0

('∀`) 「……クハハッッ!! 俺を、俺たちをエイリアンと呼びやがる?
    新惑星の発見のために、死にかけだったこの星のために旅に出て、やっと故郷に帰ってきた俺たちを……」

臨界に達した銃口を素早く上げ、

(#゚A゚) 「  て  め  え  ら  は  あ  あ  ア  ァ  ぁ  ―  ―  ―  ―  ―  ―  !  !  !  」

咆哮と同時に引き金を離す。
二つの光の槍は絡み合い、一匹の大蛇となって過たずに男の中心に注がれた。
はずだった、が。

从 ゚∀从 「せっかちな野郎だ……」

絨毯から大理石へと足を移していた目標を超え、奥の椅子に激突。
銃が黒煙を昇らせるほどの一撃にもかかわらず、穴を穿つ程度だった。

从;゚∀从 「ってお気に入りの椅子ぶっ壊すんじゃねえよ!」

('A`) 「……"2ch."起動。
    しかしよ、俺が言うのもおかしな話だがな。
    この金を俺が殺した下っ端に使おうって気はなかったのか?」

三つ目が今までよりも輝きを増し、鉄屑を捨てたドクオが新たに握りしめたのは、短剣。
逆手に構えられた二振りの広刃は、ハインリッヒと同様の淡い光を帯びていた。

从 ゚∀从 「ないない。俺に投資するだけで精いっぱいなんだなあ、これが」

(#'A`) 「敵ながら……お前みたいな糞上司を持った雑魚どもに同情するわ、"VIP聖"」

115 名前:4/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:02:02.42 ID:n+maNZyB0从 -∀从 「やっぱり、他の奴とは違うな。あんたは」

左手の仮面が、捕食するように広がって頭部に被さり、

从 ゚∀从 「これなら久々に楽しめそうだぜ……なあ?」

光点が四つ、芽吹く。蒼の尾を引いて後方の壁へ跳び、

从#゚∀从 「ドクオ!!」

掻き消えた。

考えるより先にドクオは右の柱の根元へ跳び、彼がかつて立っていた絨毯が引き裂かれて宙に舞う。
着地と同時に合成筋肉を膨らませ、一気に収縮。
右腕を振り切った異質な白に、音速を超えた突きを繰り出す。
しかし、バックステップで避けられ、コートの端を切っただけに終わった。

代わりに迫っていた目の前の刃を、咄嗟に短剣で上方へ逸らし、地面を蹴りあげ速度を相殺・反転。
ハインリッヒの後ろ姿に、左のアッパーを見舞う。
だが、やはり身を屈められて不発に終わった。

がら空きになった身体に致死の一撃がせり上がってくるが、曲がっていた左膝を思い切り伸ばし、空中へ。

(#'A`) 「クソ、がああぁあッッ!!」

次いで右足で器用に刀身の横を踏み、後ろ回し蹴りを叩き込むと、

从; ∀从 「ッッあクッ!?」

見事に踵が側頭部と接触し、火花を散らした。

116 名前:6/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:04:02.16 ID:n+maNZyB0

衝撃で転げ吹っ飛び、柱に背中を打ちつけてようやく止まったハインリッヒ。
隙だらけとなった彼に追撃したいが、人間の身長分ある空中での拘束時間は、ドクオを苛立たせた。
更に、先ほどハインリッヒが裂き舞わせた絨毯が三つ目の視界を遮る。

両腕を振るって細切れにし、再度柱に目をやるも、崩れかけのVIP聖は既に姿を消していた。

从 ゚(;'A`) 「ヤツh「ここだ」

振り返りざまに裏拳を放つが身を屈まれ、かつ後退するも合わせて前進したVIP聖は、
先ほどのお返しとばかりに拳でドクオの右脇腹を抉り、

(;゚A゚) 「ぐぶッぅァぁアああぁぁ!!」

くの字に飛ばす。

ドクオの行動は全て読まれていた。
飛ばされた先の柱に身を隠すことも、その後のことも、だ。

从#゚∀从 「休むにはああッッ!!」

危険を察知し、飛翔して空中で反転。
天井へ着地したドクオが視認したのは、破片を散らして崩れていく柱と、同じく跳躍したハインリッヒ。

从#゚∀从 「  早  い  ッ  ッ  !  !  」

(#゚A゚) 「  ッ  だ  ら  あ  ぁ  !  !  」

両手で剣を振りかぶってきた白に対し、灰色は両腕の短剣を突き立て、空中で三つの刃が激突する。
しかし、均衡が保たれることはなかった。

117 名前:7/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:06:14.31 ID:n+maNZyB0
(;゚A゚) 「ッかッああ!?」

短剣が砕け、弾かれて天井にめり込んだドクオに、追撃。
深々と腹に刺さる拳に、仮面の中で吐血した。

霞んでいく視界に映されたのは、青色の中で遠ざかる、割れた面から片目を覗かせるハインリッヒだった。


120 名前:7/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:08:18.30 ID:n+maNZyB0

横たわった柱だったものを背景に、二人の男が対峙していた。

(; A ) 「……何故、殺さ、ない?」

緑の三つ目は地面に這いつくばり、呻き声に似たものをあげ、

从 ゚∀从 「面倒になった……いや、あんたが哀れだから、だろうな」

茶色の瞳はそれを見下ろしていた。
唯一共通していたのは、彼らの手にあった敵を討つ凶器が、どちらにもなかったことくらいだろうか。

从 ゚∀从 「あんたは自分を人間だと思っているようだが……厳密にいえば、違う」

(# A ) 「違わねえ、だろうが……!!」

憤慨し、震える拳を立て、言う事の聞かない身体を再び起こそうとするドクオに、

从 ゚∀从 「違うのさ、ドクオ」

諭すような声色で話しかけるハインリッヒ。
優しさと憐れみを含んだ空気の振動に、ドクオの動きが止まった。

( A ) 「また、だ……どうして、俺の名を知って、いる?」

仮面で隠れ、更に顔を伏せた彼の表情は、ハインリッヒにはわからなかった。

从 -∀从 「あんたと話すのも何度目だろうな……って言っても、あんたぐらいお喋りなやつも、感情の強いやつも初めてだがw
       だから知ってるし、話をした人数分以上、俺はあんたと同じ"型"を殺してきた。
       けど、それにも飽きちまったんだ。だから、殺さない」


122 名前:9/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:10:03.00 ID:n+maNZyB0

『何度目? 同じ"型"?』
ドクオには何を言われているのか理解できなかった。
いや、脳では理解できていた。ただ、相手の言葉がわからなかったのだ。
彼の心中を察したのか、ハインリッヒが疑問に解答を与える。

从 ゚∀从 「ドクオ。あんたは、エイリアンに造られた"人間に模して造られた兵士"だってことだ」

波立った心に、嵐が吹き荒れた。
握り締めていた拳が、汗ばんで力がこもらなくなっていく。

从 ゚∀从 「自分のことを、数百年前、この星から旅立った移植民だ、って言ったな?
       あいつらはな、もう帰ってきてるんだよ」

近づいてくる足音。

( A ) 「嘘だ」

距離をとろうと、うつ伏せのまま後退するも、速度が違いすぎた。
彼の顔の近くに片膝を下ろしたハインリッヒが、ディスプレイを召喚する。

从 ゚∀从 「エイリアンの襲来に、初めは数十万規模だった人口を、数千人に減らして、な」

(#゚A゚) 「嘘だッッ!!」

顔をあげたドクオの眼に映ったのは、青空の下で人々を吐き出す半壊の戦艦だった。

从 ゚∀从 「ドクオ、あんたは……最後までやつらに抵抗して生け捕りにされた、
       "宇宙防衛隊初代VIP聖、鬱多ドクオ"なんだ」


126 名前:11/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:12:06.71 ID:n+maNZyB0
(#゚A゚) 「嘘を吐くな……!! 全部、全部嘘なんだろ!?」

三つ目の仮面が、寂しい音とともにタイルに落ちる。
現れたのは、口から漏れただろう青い液体を塗りたくった、鬼の顔。
潤んだ茶色い瞳。
だが、あえて指摘することなく、ハインリッヒは彼の記憶に語りかける。

从 ゚∀从 「思い出してみろ、出撃する前の仲間の顔を。
       ようっく思い出してみろよ、上官、お前の護ろうとしていた者たち、全員の顔を」

憤怒の形相は緩やかに悲壮へと形を変え、応じてドクオの頭部も下降する。
再び、彼の表情はわからなくなった。

沈黙が豪奢とは言い難くなった部屋を支配する。

やがて、男は青を滴らせながら口を開いた。

( A ) 「ああ……思い出した。
    仮面ばかりの同僚、仮面ばかりの上官、俺とは違う形の市民たち……。
    思い出せたよ、全部」

ふらふらと立ちあがったドクオ。
慌ててハインリッヒも同じ動作をとった。

从 ゚∀从 「復讐するなら、手伝う」

('A`) 「要らねえよ。これは俺の不始末、俺の闘いだ。
    自分のケツくらい、自分で拭くさ」

そう言い放った彼の表情は、ハインリッヒが写真で見たことのあるものと瓜二つだった。

127 名前:12/12[] 投稿日:2009/01/07(水) 21:14:13.92 ID:n+maNZyB0

後姿を黙って見送るハインリッヒに、“ああ、そうだ。”と初代VIP聖が振り向いた。

('A`) 「顔のわかるヘルメットを一つ、作ってくれないか?」

从 ゚∀从 「……お安い御用だ!
       ついでにとびっきり特注の装甲服もくれてやる」



――後に、地球を半ば手中に収めていた異邦人たちは、野望達成を前に崩壊した。
突如として反旗を翻した、捨て駒の群れによって。
先陣を切って母艦に突入したリーダーは、他の黒とは違って紅い装甲に身を包み、顔のわかるヘルメットを被っていたという。

だが、それがハインリッヒと対峙した鬱多ドクオだったのかは、わからないままである。
語られることのない、歴史の闇に葬られたまま……。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。